聖書 そこにある真実

真実の百科事典 聖書を中心として諸々から紹介

朝鮮史シリーズ第16回 朝鮮と清

みなさんこんにちは。梶原です。

今回は、朝鮮王朝と清の関わりについて見ていきます。

 

豊臣秀吉の死によって日本軍が朝鮮から撤退して文禄・慶長の役(壬申・丁酉の倭乱)が終わった後、朝鮮は明に「再造之恩」への感謝を表明します。明軍のおかげで朝鮮が救われたのだということです。明軍の朝鮮での度重なる暴虐にも関わらず、朝鮮は明への隷属をどこまでも続けていました。

その明も、日本との戦い以外に寧夏(元ことモンゴルの支援も入った)、播州(現在の中国貴州省遵義市)での大規模な反乱(万暦の三征)に悩まされ、一気に滅亡へと向かいます。

そして1616年満州人(オランカイ)を率いて日本軍の撃退に成功して力をつけ、明から独立して後金を建てたヌルハチが、1619年に明・朝鮮軍(明軍12万、朝鮮軍1万3000、合計13万3000)に完勝します。サルフの戦いです。この時の明軍の総司令官は楊鎬で、蔚山城の戦いで明軍を率いた人物でもあります。そして数で優っているので油断していましたが、後金軍の奇襲戦術と明・朝鮮軍の士気のなさと内部分裂のために、ヌルハチ率いる後金軍(6万)に完敗します。

この戦いは朝鮮にも大きな衝撃を与えます。彼らが宗主国として仰いでいた明(中国)が、蛮族と見下している後金(満州、オランカイ)に完敗したからです。そして朝鮮は、光海君(クァンヘグン)率いる大北派(テブクパ)(中立)と仁穆大妃(インモクテビ)が率いる西人派(ソンインパ)(属明)に分裂します。そして1623年、仁祖反正(インジョパンジョン)によって光海君は追放され、綾陽君(ヌンヤングン)が仁祖(インジョ)として王位に就きます。

1626年、明は海岸部除く満州を全て失います。しかしそれでもなお彼は後金を敵視したため、1627年、後金は朝鮮に侵攻し、後金を兄、朝鮮を弟とする盟約を結びます。丁卯胡乱(ジョンモホラン)です。そして朝鮮は後に、後金の国境にある義州(ウィジュ)と会寧(ホエリョン)に市場を開き、国境地帯の野人女直を後金に返すなども行なっています。

1635年、ヌルハチの後継者であるホンタイジは元(モンゴル)を滅ぼし、ハン位を譲り受け、皇帝となることを宣言し、国号を後金から清に改めます。そして彼はモンゴル人に支配されていた時の呼称である女真の使用を禁じ、彼の父が定めた満州(マンジュ)を正式に民族名とします。満州とは、曼珠菩薩の曼珠からきており、力ではなく仏法で中国・満州・モンゴルを統括した大帝国建設の夢を表した名称です。

彼は皇帝となったことを受け、未だ属明派が実権を握っている朝鮮に対し、臣従を要求します。しかし朝鮮は、清を蛮族(オランカイ)と侮辱してこれを拒絶します。そのためホンタイジは、12万8000人の軍を率いて朝鮮を攻撃し、開戦後5日で漢城(ハンソン)に到達します。仁祖は江華島(カンファド)へ逃亡を試みますが清軍の包囲を破れず、南漢山城(ナムハンサンソン)に40日間籠城しますが、兵糧が尽き、降伏します。丙子胡乱(ピョンジャホラン)です。

彼は漢江南岸の三田渡(サムチョンド)に布陣しているホンタイジのもとへ出向き、三跪九叩頭の礼という、三回跪いて各々三回ずつ頭を地面に擦りつけるという清皇帝への最敬礼を強制され、許しを請います。

そして三田渡の盟約を結ばされ、清の属国となり、明と断交すること、朝鮮王子と大臣の子または弟を人質として送ること、そして黄金100両と白銀1000両、また朝鮮人美女や牛、馬、豚など20余種を毎年3000ずつ上納することを強いられます。

そして大清皇帝功徳碑(テチョンファンジェコンドクピ)を建立させられ、表左にモンゴル語、表右に満州語、裏に中国語でホンタイジへの反省文を書かされます。偉大なる清への愚かな反逆を偉大な清国皇帝(ホンタイジ)は許してくださり、朝鮮国王はそれに永遠に感謝して臣下となることを誓った、という内容です。

この大清皇帝功徳碑、韓国の一部保守派に何度も倒されていますが、現在は韓国の指定史跡となっています。

その後清は、1644年に明が農民李自成の反乱によって滅び、李自成が順の建国を宣言した時に、明の旧将たちの依頼を受けて順を滅ぼし、中国・モンゴル・満州を包括する帝国の地位を確立させています。

朝鮮はこの後、中華(中国)は蛮族(満州人・オランカイ)の手に落ちたものの、我々小中華(朝鮮)は国家を失わずに済んでいる、だから我々小中華(朝鮮)こそが正統な中華文明の後継者だ、という小中華思想を掲げ、そして1674年には大明天地(テミョンチョンジ)を標語にしています。明(中華)を仰いで清(満州・オランカイ)の支配を拒絶し、表向きは清に従いつつも明の正統性を受け継いでいく、というものです。しかし清の相手にさえならない極貧国の朝鮮は、清の属国として徹底的に収奪される、周囲から隔絶された秘境として19世紀まで存続します。

 

悲惨な歴史であっても朝鮮は朝鮮、中国は中国、満州満州です。世界に存在しているというのが大切なので、悲惨な歴史を隠すのではなく、それを見つつもそれ以上に未来を見ていく、というのが求められると思います。

わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。(イザヤ43:4)